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[第9回] ベトナムで会社を設立する ?合弁の留意点その2?
2016年3月14日
前回に続き、ベトナムで合弁会社を設立する際の留意点について見ていきます。
前回は、下図の中で「日本側の持株比率が25%未満」の場合についてご説明しましたが、今回は、「日本側の持株比率が25%以上35%未満」の場合についてご説明します。
日本側の 持株比率 |
ベトナム側の 持株比率 |
支配権 |
---|---|---|
75%以上100%未満 | 25%以下 | ・日本側は単独で特別決議を通せる →日本側に完全な支配権あり |
65%以上75%未満 | 25%超35%以下 | ・日本側は単独で普通決議を通せる ・日本側は単独で特別決議を通せない →ベトナム側に特別決議の拒否権あり |
35%超65%未満 | 35%超65%未満 | ・どちらも単独では、普通決議/特別決議を通せない |
25%超35%以下 | 65%以上75%未満 | ・ベトナム側は単独で普通決議を通せる ・ベトナム側は単独で特別決議を通せない →日本側に特別決議の拒否権あり |
25%以下 | 75%以上100%未満 | ・ベトナム側は単独で特別決議を通せる →ベトナム側に完全な支配権あり |
※数値の設定に不正確な記載がありましたので、上記赤字のとおり修正させて頂きます。
具体的な説明に入る前に、本稿に関連する法改正に少しふれたいと思います。
2015年7月1日に改正企業法が施行され、株式会社と有限責任会社の総会決議要件が下表のとおり変更になっています。
株式会社 | 有限責任会社 | |
---|---|---|
旧企業法 | 普通決議: 65% 特別決議: 75% | 普通決議: 65% 特別決議: 75% |
新企業法 | 普通決議: 51% 特別決議: 65% | 普通決議: 65% 特別決議: 75% 但し、定款により、低い値を設定可 |
株式会社に関しては、普通決議/特別決議の可決要件が51%/65%まで引き下げられています。
日本側:ベトナム側=51:49という出資比率の株式会社の場合、法改正によって日本側が単独で普通決議を通せることになります。
一方で、49:51という出資比率の株式会社の場合、法改正によってベトナム側が単独で普通決議を通せることになるため、定款変更等により対策を講じる必要があるでしょう。
有限責任会社に関しては、基本は据え置きですが、定款によって低い値を設定することが可能になっています。
本稿に関しては、原則として、有限責任会社の基本形である「65%・75%」を前提に説明を続けさせて頂きます。
2 日本側の持株比率が25%超35%以下
ベトナム側は、単独で普通決議を通すことができますが、単独で特別決議を通すことができません。
したがって、日本側は特別決議に関して「拒否権」を持っている状態にあります。
上記を前提に、日本側の意思を当該合弁会社の経営に反映させるためには、?定款によって重要事項を全て特別決議事項に追加するか、または、?別途重要事項に関する拒否権を設定しておく方法が必要です。
その他、取締役の選任権やプット・オプションについては1 「日本側の持株比率が25%以下」の場合と同様です。
次回「ベトナムで会社を設立する?合弁の留意点その3?」に続きます。
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