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[第1回]ベトナムにおける治安状況
2015年6月30日
皆様、初めましてALSOKベトナムの安立(あだち)と申します。
今回よりハローベトナム様でコラムをスタートさせて頂くことになりました。ベトナムへ進出を検討されている日系企業様や、既に進出された日系企業様向けに、当地の治安状況やセキュリティ面での課題・対策について情報を配信していく予定です。よろしくお願いいたします。
まず、始めに当社の簡単な紹介をさせていただきます。当社は2009年11月に、綜合警備保障株式会社(ALSOK)の100%出資で創業し、ベトナムへ進出する日系企業様向けにセキュリティのコンサルティング、警備機器などの販売、地場の警備会社の紹介を主な事業としている会社です。
工場・オフィスでのセキュリティ対策のご提案から、お客様と地場の警備会社の間に入って警備会社への指導・監督・クレーム対応まで幅広くお引き受けしております。
それでは早速ですが、ベトナムにおける治安状況について、ベトナム進出を検討・予定されている企業様に知っておいていただきたい事柄を数回に渡ってご説明します。
(1)治安に関する数字
日本では警察庁などが「犯罪白書」などの統計数字を毎年度公式に発表していますが、ベトナムにおいて省庁から公式に発表される統計数字というものはありません。各省庁や人民委員会で開催される会議のニュースが日々取り上げられており、その中で発表される数字を丹念に拾って行くしか方法はありません。
例えば、ベトナム公安省が毎年開催している総括会議の中で発表される数字があり、2014年の会議で発表された数字は下記の通りでした。
犯罪件数:4万5,490件
被逮捕者数:約8万7,000人
暴力団被逮捕者数:2,725人
経済犯罪検挙件数:1万3,884件
薬物犯罪検挙件数:約2万件
薬物犯罪被逮捕者数:約3万人
薬物押収量:ヘロイン729キログラムおよび合成薬物約730キログラム
ちなみに日本における2014年の刑法犯の総数は121万件とベトナムの約27倍、逮捕者数は25万人とベトナムの約3倍です。(警察庁発表「犯罪統計資料」より)
また、地方のニュースの中でも犯罪に関する数字を拾うことが出来ます。
2015年1月に開催されたホーチミン市人民委員会で、2014年のホーチミン市の数字が発表されています。犯罪件数は6,400件で、傷害事件が841件、うち98件が殺人事件でした。これは前年度と比較して2.6%増加していることとのこと。傾向として、ホーチミン市に隣接するドンナイ省、ビンズン省、ロンアン省への流入人口の増加に伴い、市とそれぞれの省の境界地域での犯罪が増加している模様です。この3省は、まさにベトナム南部に進出しようとしている日系企業が工場を建設する際の候補地でもあり、主な工業団地が集中・点在している地域でもあります。
北部ハノイ市での状況は、2014年12月の公安関連のニュースの中で、犯罪件数が5,255件発生し、うち53%が窃盗事件であったこと、殺人などの重大犯罪が160件であったことが発表されています。
また同じく北部で日系企業が進出する地域としてハイフォン市があります。こちらは港湾都市であり、従来から治安が悪い地域と言われて来ました。2014年8月時点のニュースによると、ハイフォン市公安の薬物犯罪担当官の発表として、前年11月からの約9か月間の薬物犯罪は295件発生し、関係者を593人逮捕しています。
国全体や主要都市に関するいくつかの数字を見て来ました。そもそも統計の手法が確立されていない、集計の仕方が統一されていないなど、上記の数字をもってベトナムの治安について結論付けることは困難で、あくまで参考数値にとどめるべきと考えます。一般的には、ベトナムは東南アジアの中では比較的治安は良い方だと言われていますが、ローカルのニュースを見て行くと上記のように実際に多くの犯罪が発生しています。また、オフィスや工場での現場で発生する犯罪は、表立ってニュースにならない(つまり統計数字に表れない)ケースも多くあります。
では次回は、多くの日系企業が入居する工業団地内の治安について、昨年5月に発生した反中デモを振り返りながら説明します。そして3回目以降でオフィスや工場で発生している犯罪について具体的に説明して行きます。
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