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[第3回] ベトナムの工業団地内で日常的に発生する事件

2015年8月27日

今回は、ベトナムの工業団地内で日常的に発生する事件をご紹介します。大きく「窃盗」「傷害」「交通問題」「薬物・ギャンブル・暴力団」の4カテゴリーに分けました。いくつか事例をご紹介し、次回以降、対策について説明します。

 

(3)工業団地内で発生する事件例

一つ目は窃盗事件

 ベトナムの工場は、悪意のある人間にとっては「宝の山」と言っても過言ではありません。ここベトナムでは、日本人がゴミと思うようなものでも換金出来るものが多くあります。あれほどゴミゴミしている街中でも、空き缶や空き瓶を見かけないのは、ベトナムにおいてはそれらは換金できるものであるということです。
 工場で最もよく狙われるのは銅線です。銅線は持ち出しやすく見つかりにくいため、ワーカーが服の下に隠したり(イメージ)、トイレのタンクなどに隠したりして持ちだそうとするケース(写真)が報告されています。その陰には、金属の買取業者の存在があります。工業団地敷地内の木陰で量りを持った者が銅線の買取りを行っています。ワーカーは自分の働く工場で盗みを行い、その者に売りつけます。

 

イメージ

銅線を腹に巻いたワーカーイメージ

写真

トイレタンクに隠された銅線写真

 

2つ目は傷害事件

 最も多く発生するのは、出退社時の移動中の暴行です。工場敷地内から出た後に、うしろをつけられ一人になった所を狙われます。被害者は、工場のオフィススタッフやワーカー、警備員や出入りの作業員であったりします。特徴的なのは、複数人に取り囲まれ暴行を受け、かつ全く見知らぬ相手から暴行を受ける被害が多いことです。被害者個人に対する恨みか、会社に対しての恨みなのか原因が分からない場合が多いのです。そこで見えて来るのは、工業団地周辺の「殴り屋」の存在です。何らかのトラブルにより相手に復讐を行いたい場合に、工業団地周辺にいる「殴り屋」に50万ドン(約3,000円)程度渡すだけで、出退社時に工場・工業団地周辺で暴行を加えられます。

 

3つ目は交通問題

 工業団地は、広大な敷地があり、横幅、距離もある道路が多いため、夜間にバイクを猛スピードで走らせてスピード競争をする若者が後を絶ちません。このように常習的に遊んでいた者が一般のバイクと正面衝突し両者とも死亡する事故が多発しています。出会い頭の事故が多いことが特徴です。また、工場敷地内から出た途端の事故やその周辺、交差点でも事故は多くみられます。工業団地によっては、スピードの出しすぎの防止策として道路に小さな段差(ハンプと呼びます)を設置したり、企業によってはヘルメットの着用と靴を履いてバイクに乗るよう指導しています。さらに、新らたな造成や拡張等の整備を行っている工業団地内は、大型トラックやコンテナ等が頻繁に通るので、道路の路面状況がきわめて悪く(ワダチや陥没等ができてしまう)、バイクでの通勤者が交通事故に遭うケースが散見されます。

 

4つ目は、薬物・ギャンブル・暴力団関連

 工業団地内の共用施設(グランド、休憩所等)や工場内のトイレなどで、薬物使用後と思われる注射針が散見されます。工業団地周辺で、薬物の売買がされているという情報もあります。また工業団地周辺の住宅(アパート、会社借り上げ宿舎等)で、法律で禁止されているギャンブルが行われ、その現場を公安に摘発されるというケースもあります。
 また、工業団地周辺の暴力団(マフィア)による工業団地や企業への圧力もあります。新しく開発された工業団地で多く発生するトラブルに、地域住民の立ち退き問題が解決しないまま工場の建設が始まっていたりするケースがあります。住民に協力したマフィアが、警備会社や廃材業者に扮して工場に入り込み、盗難の手引きをするというケースが報告されています。また、企業が契約している廃材業者に対し、工業団地内へ入れなくしたり脅したりの嫌がらせを行ったりします。公安も地域住民が関係していることを知っているため、事案が発生しても、なかなか積極的に対応しない場合が多いです。

 その他、笑うに笑えない話ですが実際に起きた事例で、工業団地に隣接する住宅街で焚火をしていた火の粉が工業団地内の日系工場の敷地に入り込み、乾期で乾燥していた草を一部焼いたという事件もありました。
 では、次回は、工場・工業団地内で発生するこれらの事件のうち、特に経営者を悩まし、かつ工場側で対策が可能である「窃盗」への対策について説明します。

 

 

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安立 光孝

プロフィール

ALSOK (Vietnam) Co.,LTD.
代表取締役社長
安立 光孝

コンピュータメーカーで17年間システムエンジニアとして従事。製造業における生産管理システムやファクトリオートメーションシステムの構築を担当。1998年から4年間、米国シリコンバレーに駐在し、ITセキュリティのベンチャー企業を発掘、日本市場への参入を支援。2007年に綜合警備保障株式会社(ALSOK)入社。新規事業の「情報警備」事業を立ち上げ、2014年4月より現職。

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