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[第6回] 会社設立後の手続き ?総務編?
2015年1月13日
前回までは日本企業がベトナムに進出する際の形態をみてきました。今後はベトナムに進出した後についてみていきたいと思います。まずは有限会社設立をした後に必要な手続きについて紹介させていただきます。
第3回のコラムで記載させていただいた通り、会社設立後の手続きとしては、大まかには以下の流れに沿って進んでいきます。
大項目 | 小項目 | 関連先 |
投資ライセンスの取得 | 計画投資局又は工業団地管理局等 | |
総務 | 工場又はオフィスの 正式契約 |
工業団地運営会社又は賃貸人 |
会社印の取得 | 公安 | |
社員(株主)名簿の作成 | ベトナム法人 | |
新聞広告 | 新聞社 | |
税務 (法人関係) |
会社税番号の取得 | 税務局 |
減価償却方法の登録 | ||
営業許可税の申告納付 | ||
VATインボイスの準備 | ||
会計 | 会計年度の登録 | 財務省 |
チーフアカウントの登録 | 税務局 | |
監査法人の選定 | ベトナム法人 | |
資本金・ 銀行口座 |
銀行口座開設 | 銀行 |
資本金の振込 | ||
出資証明書の発行 |
では総務関連の手続きについて確認していきましょう。
(1)工業団地又はオフィスの正式契約
まず進出先が工業団地かオフィス街かにより、契約相手が異なります。
1 工業団地に進出するケース。
投資ライセンス申請前に、有限会社の場合は社員になる親会社、又は個人オーナーが、工業団地運営会社と土地使用に関する仮契約を行います。
2 オフィス街に進出する販売会社やIT企業等のケース。
投資ライセンス申請前に、有限会社の場合は社員になる親会社又は個人オーナーが、オフィスのオーナーとオフィス賃貸に関する仮契約を行います。
これらの仮契約書が投資ライセンス申請書類となります。投資ライセンス取得後は、ベトナム法人名で正式契約することになります。
弊社もM&A案件の際、投資ライセンス取得後に会社設立後に会社との正式契約に切り替えることを失念していたケースを発見したことがあり、このような場合は税務上等大きな問題に発展する場合もありますので、ご注意ください。
(2)会社印の取得
日本と同様にベトナムにおいても、契約書・税務申告書など様々な場面で法的代表者の署名と社員の捺印が必要です。ただ、日本との違いも多いです。大きな違いとして購入場所と形状の規定の二つがあります。
1 購入場所
ベトナムでは、所轄の公安(警察署)からのみ取得可能(偽造防止の為の制度)です。印鑑証明も同様に公安から入手します。
2 形状
デザイン・形式も政府規定のデザインで統一されています。
日本のように実印と契約印のように、異なる社印を持つことはできません。
(※企業法の改正により、2015年7月1日からは、各会社が会社印の形式・数量・内容について自由に決めて管理できるようになる予定です。)
(3)社員名簿の作成(※ここでの社員とは有限会社の出資者のことを言います)
投資ライセンス取得後速やかに、下記内容が記載された社員名簿を作成し、ベトナム法人の本社に保管しておく必要があります。
・社名・本社所在地・社員の氏名・住所・国籍・出資時期における出資比率・出資額出資の目的たる財産の種類等
(4)会社設立後の新聞広告
投資ライセンス取得後30日以内に新聞等の情報媒体を利用し、新会社の設立を公表する必要があります。掲載回数には規定があり、3日連続して掲載しなければなりません。新聞への公告は義務であり、実施しなければ罰金が生じます。しかし、実際に見ている人は少なく、実務上は電子新聞や安い新聞紙を使って、数百円?数千円と費用を抑えるケースが多いです。
上記は2014年12月31日現在の状況で、ベトナム国では法律の改正が早く、また法律の整備・運用が不明瞭で実際はグレーな部分が非常に多いです。実際の会社設立時には弁護士事務所やコンサルティング会社等、専門家に相談しながら会社を設立することをお勧めします。
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※コラム内容は、株式会社エスネットワークス出版の「ベトナム事業運営マニュアル」より一部抜粋。
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