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[第10回] 会社設立後の手続き ?税務編その4?
2015年6月9日
過去数回(第7回・第8回・第9回)にわたって、日本企業がベトナムに有限会社設立をした後に必要な手続きについて紹介させていただいています。今回は引き続き税務面ということで、付加価値税の概要についてみていきたいと思います。
(7)付加価値税
?概要
付加価値税(Value Added Tax、通称VAT)は、日本の消費税とほぼ同様の制度です。企業において、売上にかかる付加価値税を得意先から受け取り、仕入にかかる付加価値税を仕入先に支払い、両者の差額を納税するものです。標準的な税率は10%になります。
?具体的内容
【税率】
通常の税率は10%ですが、以下の通り例外があります。
- ・非課税取引
輸出加工企業の輸出による売上取引。
政策的な配慮がされているもの(例:医療サービス・生命保険・加工前の農水産物等)
- ・5%取引
ベトナムにおける必需品(例:生産食品・肥料などにかかる売上・仕入)
- ・0%取引
輸出する物品・サービスにかかる売上、国際輸送にかかる売上等。
- ・仕入先への支払の際に受け取ったVATインボイスが正式なものであり、付加価値税の記載内容に漏れ・誤りがないこと。
- ・支払った金額が2,000万ドン(約11万円)以上の場合には、銀行送金により支払うこと。
- ・輸出売上のための仕入については、通関書類等の輸出に関する書類の提示。
- ・連続する12カ月間において、相殺されない仕入VATがある。
- ・ライセンス機関に企業登録を済ませた新設企業で、VAT登録も済ませているが、正式稼働前で売上VATが発生してない、かつ、投資期間が1年間超である。もしくは相殺してない仕入VATが3億ドン超ある。
- ・輸出企業において、1カ月間に相殺していない仕入VATが3億ドン超ある。
- お問い合わせはこちら
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URL : http://www.esnet.com.vn/ 電話番号 : 【ホーチミン本社】+84-(0)28-3821-3215 【ハノイ支店】+84-(0)24-3941-2181 【担当:樋崎康彰】+84-(0)122-375-1439 Email : contact@esnet.com.vn
【申告の方法】
原則的で一般的な方法は「控除方式」であり、例外的で稀な方法は「簡易課税方式」です。
控除方式は、売上VAT?仕入れVAT で計算、付加価値税を政府に申告し、両者の差額を納税、又は還付を受け取る方法です。ベトナム会計システムに基づく、会計帳簿・税務インボイス・領収書を整備する必要があります。
【申告の頻度と期限】
付加価値税は、毎月申告が必要であり、翌月20日までに申告書を提出する必要があります。ただし、売上が200億ドン(約1億1000万円) 以下の納税者に対しては四半期申告も可能となっており、その場合の申告期限は各四半期終了後30日です。
?仕入控除・還付の条件
【仕入控除の主な条件】
【還付を受けるための主な条件】※下記のいずれか一つに該当する必要がある。
上記は2015年5月31日現在の状況で、ベトナム国では法律の改正が早く、また法律の整備・運用が不明瞭で実際はグレーな部分が非常に多いです。実際の会社設立時には弁護士事務所やコンサルティング会社等、専門家に相談しながら会社を設立することをお勧めします。
※コラム内容は、株式会社エスネットワークス出版の「ベトナム事業運営マニュアル」より一部抜粋。
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