ベトナムでもPCの普及に合わせて、インターネットの利用が一般家庭にまで普及してきており、ベトナム政府、インターネットサービスプロバイダー（以下、ISP）もサービスの安定性および高速化に努めております。ベトナムでのインターネットの利用とベトナムで IT を利用するにあたって注意すべき点について紹介いたします。

インターネットの利用について

ベトナムでのインターネットの状況について

ベトナムでのISP間の競争により年々インターネットサービスの向上と、利用料金の値下げがされており、ベトナムの一般家庭にまで急速に普及しつつありますが、日本の通信環境と比較すると残念ながらまだ良好とは言えません。

2011年8月末時点の統計値として、利用者数は3004万人（人口普及率35%）を記録しております。この3004万人のうちの12％はブロードバンドを利用しており、また、65％はホーチミンとハノイに集中しています。更に、普及率の伸びが顕著であり、2007年から2008年にはその契約数は4倍に増え、引き続き大きな伸びが続いています。

また、2009年より各ISPが光ファイバーを使ったインターネット (FTTH：Fiber To TheHome)サービスのメニュー充実および提供エリアを拡大しており、大都市圏のみならず工業団地全般にまで提供エリアを拡大中です。

Wifiなどの無線インターネットアクセスも町中のカフェやホテルのロビーなどで利用できます。

ベトナムでよく聞くインターネットの問題点として以下があげられます。

• メールの受信時に何度も同じメールが届いたり、メールが相手先に届かないまたは受信できない。
• 接続が不安定でサービスが利用できない。
• 相手先に迷惑メールと認識されてしまう。
• 海外へのアクセスで、スループットが期待しているほど出ない。

インターネットの接続方法について

ベトナムでのインターネットの利用の際には以下の接続方法が一般的です。それぞれ利用目的に応じて選択されることを勧めます。

ダイアルアップ接続

現在では利用者が減少中です。下記のADSLの価格低下によるものです。

常時接続

1. ADSL（銅線タイプ）10Mbps／640kbpsの非対称（VNNのADSL最速契約速度）
2. FTTH（光ファイバータイプ）71Mbps／71Mbpsの対称　(VNNの最速契約速度）
3. ?専用線　64kbps?10Mbps

インターネット加入について

インターネット加入手続きは電話局またはISPの代理店での手続きを実施する必要があり、個人契約と法人契約によって必要書類が異なります。

個人で加入する場合

1. 必要書類
・身分証明書およびビザまたはベトナム国内ID カード
・申込書

2. 設置までの期間
約2?4 週間

3. 加入費用
約 18US $? 50US $

4. デポジット
約 200US $

※ 場合により不要になる場合があります(申し込み時に確認が必要です)。
※ 設置場所によっては、ISPからサービス利用できるかどうか確認のため訪問して確認することがあります。
※ 外国人向けのアパートでのインターネット利用についてはアパート管理側に確認をお勧めいたします。

法人で加入する場合

1. 必要書類
・Investment license( 公証版コピー)
・申込書に代表者のサイン及び会社印

2. 設置までの期間
約2?4 週間

3. 加入費用
150?200US $

※設置場所によっては、ISPからサービス利用できるかどうか訪問して確認することがあります。

ネットワーク接続機器について

インターネットを利用するのに必要な機器については買取が原則ですが、ＩＳＰ側から無償でレンタルできる場合もあり、確認が必要です。パソコンショップ等で機器を購入することも可能です。利用できる機能によって機器価格は異なりますがADSL接続の場合には50?1000US $が目安となります。

料金支払い方法について

ダイアルアップの場合には、事前にISPからプリペイドカードを購入して利用することも可能です。常時接続の場合にはISPから毎月利用額の通知があり、窓口での料金支払いまたは銀行での振り込みとなります。

IT の利用と注意事項

利用環境について

ベトナムの電力事情はよくなく、都市部でも停電が度々発生いたします。ノートPCの場合にはバッテリーがついているのであまり問題になりませんが、デスクトップPCの場合には無停電電源装置（UPS）を導入し大事なデータを紛失しないように保護する必要があります。また、落雷などの過電流により通信機器がダメージを受けることもあるため、通信回線にサージプロテクター、サーバーなどにはUPSを導入することを勧めます。また日本で購入した周辺機器等は動作電圧が200V?240Vに対応されているかどうか確認してから使いましょう。

ベトナムの気候は高温多湿であるため、サーバールームの個別空調や結露発生時のITシステムに影響がでないように配慮が必要となります。またビル側の設備としてスプリンクラーなどの消化設備がある場合は、万が一の場合を考慮して建設会社、ビル管理者に事前に相談しましょう。

ソフトウエアについて

ベトナム国内では海賊版のソフトウエアが多数流通しておりますが、正規品の購入が必須です。ベトナム人のIT担当者に任せたことで会社のPCのほとんどが海賊版のソフトウエアといったケースも見受けられます。また海賊版のソフトウエアはサポートが得られないためウイルス対策がきちんとできません。

ウイルス対策について

日本でもコンピュータウイルスが話題になりますが、ベトナムでもウイルスによる被害が多く報告されております。自己防衛のためウイルス対策として以下の対策を実施することが望ましいです。

ウィンドウズセキュリティパッチ

マイクロソフトから Windows OS の脆弱性に対応するためパッチがリリースされますので、こまめにセキュリティパッチを実施してください。

ウイルス対策ソフトウエア

ベトナムでもSymantec社やMcAfee社等のウイルス対策ソフトウエアを購入することができます。各PCに対策ソフトを導入し、メールの送受信時のウイルスチェックの実施、定期的なハードディスクのスキャンの実施及びパッチファイルの更新をこまめに実施してください。

ファイアーウォール

インターネット経由でのウイルス感染例が多いため、インターネットとの通信にはファイアーウォールやIDSを導入してセキュリティ対策検討・導入をしましょう。

メールサービス

ベトナムでインターネットプロバイダーのメールサービスを利用する場合にはサービスプロバイダーの評判やサービスを確認してから利用いたしましょう。

Virus scan 機能によりメール受信前にサーバー側でウイルスチェックすることで安心して送受信できるか、Antivirus機能により不要なSpamメールを選別し、Anti-spamアプリケーションで効率的にメールできるかが目安になります。またベトナム国外からのアクセスや、Webメールの利用などの確認もポイントとなります。

バックアップ対策について

ベトナムでは高温多湿な環境であるため他の地域と比較してハードディスク障害が比較的頻度が高いです。企業で利用する重要なデータファイルはファイルサーバなどで一元的に管理し、ハードディスク障害対策と定期的なデータバックアップを実施して保護するのが一般的です。

データバックアップは障害が発生した際のビジネスへの影響を小さくするために毎日実施するのが理想です。データの重要度に応じてバックアップの頻度を検討いたしましょう。また、個人で利用するデータの場合は各PCに保存されることになりますが、重要なデータはDVDやCDといった記録メディアや外付けハードディスクでこまめに保護することをお勧めいたします。

日本語仕様について

日本語OSやアプリケーション、日本語キーボードを利用したい場合には、日本から持参するか、日本製品の取り扱い販売店で購入しましょう。英語版のOSでも日本語の表示・入力は可能ですが、フォントの問題できちんと表示されないことがあります。

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