HOME > 専門家コラム > [第2回] ベトナムでのビジネスの形態
[第2回] ベトナムでのビジネスの形態
2014年10月16日
今回からは、日本の会社または個人(「日系投資家」)がベトナムでビジネスを始めるに当たり、法律上どのような方法があるのか、という点を見ていきたいと思います。
方法としては、以下のように大きく3つに分けることができます。
1 | 事業所等を新規で立ち上げる方法 | (1) 会社 |
(2) 支店 | ||
(3) 駐在員事務所 | ||
(4) プロジェクト企業 | ||
2 | 既存のベトナム会社を買う方法 | |
3 | それ以外 | (1) 建設請負 |
(2) 事業協力契約 | ||
(3) フランチャイズ契約など |
1 事業所等を新規で立ち上げる方法
-
(1) 会社
原則として、日系投資家がベトナムでビジネスを行う場合、出資を行い、子会社を設立しなくてはなりません。出資した日系投資家は、設立した子会社の株主となります。
-
(2) 支店
日本の会社のベトナム支店を設立する方法です。子会社が株主(日本の会社)とは別の法人となるのに対し、ベトナム支店は日本の会社の一部という位置づけになります。
したがって、「ベトナム支店の債務は、最終的に日本の会社が弁済義務を負う」というのが一つの留意点です。
なお、支店は、銀行や法律事務所など、ごく一部のビジネスにのみ認められています。 -
(3) 駐在員事務所?日本の会社(本社)とベトナムの会社との間で締結された契約の実施状況のチェックや本社との連絡業務、?今後のベトナムでの事業開始を見越した市場調査など、を目的として設立されます。
子会社の設立と比べて比較的簡単に設立することができますが、活動範囲は上記??に限定されてしまいます。実際のビジネス(お金を稼ぐ行為)を行うことはできないので、注意が必要です。 -
(4) プロジェクト企業
特定のプロジェクトのために設立される会社です。インフラ建設などに限定されます。
上記のうち、ほとんどの投資家が利用する方法が(1)「会社」の新規設立ですので、別途詳しくご説明します。
2 既存のベトナム会社を買う方法
上記1で記載した各方法は、一から新しい事業所等を立ち上げる方法(新規設立)です。これに対して、既にベトナムで事業を営んでいる会社を買う(買収)という方法もあります。
新規設立、買収、それぞれに長所・短所がありますので、この点も別途詳しくご説明します。
3 その他
-
(1) 建設請負
建設案件は、特例が設けられており、子会社を設立しなくても日本の会社が直接ベトナムでの建設を請け負うことができます。その場合、別途特別な許可を取得しなくてはなりません。
-
(2) 事業協力契約
日本の会社とベトナムの会社が、ベトナムにおける特定のプロジェクトを行うため、当事者間の責任・利益配分を規定した事業協力契約を締結する場合、子会社を設立することなくビジネスを行うことができます。
例えば、日本の映画製作会社がベトナムで映画を製作・配給・放映したいと考えた場合、ベトナムの映画製作会社との間で事業協力契約を締結することで、これらを行うことができます。
事業協力契約を締結する場合、子会社を設立しなくても済むのですが、そのプロジェクトから発生した債務は、全て契約当事者(日本の会社とベトナムの会社)の負担になるため、注意が必要です。
-
(3) フランチャイズ契約など
特定の商品やサービスの提供についてノウハウを有する日本の会社が、ベトナムの会社に対して経営のノウハウを与え、その商号・商標を利用させることで、日本の会社と同じようなイメージでビジネスをさせる場合です。他方、ベトナムの会社は日本の会社に対してフランチャイズ料を支払います。
これにより、日本の会社は子会社を設立せずに、ベトナムの会社を通じて間接的にビジネスを行うことができます。
ベトナムでは、コンビニエンス・ストアやファースト・フード店の多くがこの形態でビジネスを行っています。
- お問い合わせはこちら
-
URL : http://vilaf.com.vn/ 電話番号 : +84-(0)28-3827-7300 (【VILAF】Vietnam International Law Firm)
Email : ymm@amt-law.com