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[第5回] ベトナムで会社を設立する
2015年1月14日
第3回のコラムでご説明したとおり、ベトナムでビジネスをスタートするに当たり、会社の新規設立というのが最もポピュラーな方法の一つです。
今回は、ベトナムの「会社」についてご説明したいと思います。
1 会社の種類
ベトナムでは、統一企業法において、以下の4種類の会社が認められています。
- (1)有限責任会社
- (2)株式会社
- (3)合名会社
- (4)私営企業
このうち、外資系企業(外国人)が使用するのは(1)と(2)です。
2 有限責任会社と株式会社
有限責任会社は、出資者の人数に応じて、一人有限責任会社と二人以上有限責任会社に区別されます。
したがって、日系企業がベトナムで会社を設立しようとする場合、?一人有限責任会社、?二人以上有限責任会社、?株式会社の3つの選択肢があるわけです。
3者の違いを簡単に見て行きましょう。最も重要な相違点は機関構成ですので、その点を中心に見て行きます。なお、わかりやすくするため、例外等を適宜省略しています。
一人有限責任会社 | 二人以上有限責任会社 | 株式会社 | |
---|---|---|---|
出資者の数 | 1名 | 2名?50名 | 3名? |
意思決定機関 |
会長 |
社員総会(+会長) |
株主総会 |
最高決定機関 |
会長 |
社員総会 |
株主総会 |
監督機関 |
監査役 |
なし |
なし |
法定代表者 |
社長または会長 |
社長または社員総会の会長 |
社長または取締役会の会長 |
-
(1)出資者の数
-
まず、出資者の数が1名(100%子会社)の場合は、自動的に一人有限責任会社になります。
次に、出資者の数が2名(2社での合弁)の場合も、自動的に二人有限責任会社になります。
最後に、出資者の数が3名以上の場合、「二人以上有限責任会社」か「株式会社」のどちらかを選ぶことができます。
では、どちらが良いかということになりますが、二人以上有限責任会社を選択するケースが圧倒的に多いです。
主な理由として、以下(2)でご説明するとおり、「株式会社は機関構成が複雑で、管理コストがかかる」という点が挙げられます。
なお、有限責任会社は上場することができませんので、将来の上場を予定しているようなケースでは、株式会社を選択する方が良いでしょう。
-
(2)意思決定機関
-
まず、一人有限責任会社の場合は会長および社長、二人以上有限責任会社の場合は社員総会および社長が意思決定機関となる、2層構造となります。
他方、株式会社の場合は、株主総会、取締役会および社長が意思決定機関となる、3層構造を取っています。
株式会社は比較的大きな会社を想定しているため、?日常の経営は社長が決定、?重要な事項は取締役会で決定、?非常に重要な事項は株主総会で決定、というように決定権限をより細かく分けているのです。
このように機関構成が複雑になると、必要な人員、作成すべき書類、開催すべき会議などが増え、それに伴い管理コストが増加することになります。
最後に、少し脱線しますが、「有限責任とは何か?」という点について触れておきます。
「有限責任」とは、自分が出資した範囲でしか責任を負わないということです。
例えば、“Aさんが100万円を出資して一人有限責任会社V社を設立した”とします。V社が1億円の負債を残して倒産した場合、“Aさんは出資した100万円を失いますが、V社の負債1億円については責任を負わない”ということになります。
この点は、株式会社も同じで、各株主の責任は「有限責任」です。
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