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[第7回] ベトナムで会社を設立する ?独資か合弁か??
2015年3月16日
前回ご説明したとおり、独資・合弁には以下のようなメリット・デメリットがあり、どちらを選択するかは慎重に決定する必要があります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
独資 | ?会社を単独で支配できる(何でも自分達で決めることができる) | ?当局のコネクションや顧客・販路など一から構築しなくてはならない |
合弁 | ?ローカル・パートナーのコネクションや顧客・販路などを利用できる ?ローカル・パートナーの保有する土地使用権や工場・建物などを利用できる |
?合弁契約の作成コストがかかる ?会社を単独で支配できない(※出資比率による) ?ローカル・パートナーと経営方針等をめぐり紛争が生ずるリスクがある |
特に重要なポイントを整理していきましょう。
<ポイント1>会社の支配権
まず、会社の支配権とは、「会社の重要な事項を決めることができる権利」を意味します。
会社の重要事項については、株主総会で決定されますので、
「会社の支配権=株主総会の議決権」
と言い換えることもできます 。注1
ここで、企業法の株主総会の決議要件を見ますと、?社長の選任、事業内容の変更といった重要事項(普通決議事項)については65%、?定款の変更のような非常に重要な事項(特別決議事項)については75%の賛成が必要とされています 。注2
-
(1)100%独資の場合
- この場合、株主総会の議決権を100%保有していることから、会社の経営に関しては、重要な事項?些細な事項まであらゆることを自分たちで決めることができます。すなわち、会社の完全な支配権を有しているといえ、これが独資のメリットです。
-
(2)合弁の場合
- 一方で、合弁の場合の会社の支配権は、株主の持株比率によって以下のように異なります。
日本側の 持株比率 |
ベトナム側の 持株比率 |
支配権 |
---|---|---|
75%以上100%未満 | 25%未満 | ・日本側は単独で特別決議を通せる →日本側に完全な支配権あり |
65%以上75%未満 | 25%以上35%未満 | ・日本側は単独で普通決議を通せる ・日本側は単独で特別決議を通せない →ベトナム側に特別決議の拒否権あり |
35%以上65%未満 | 35%以上65%未満 | ・どちらも単独では、普通決議/特別決議を通せない |
25%以上35%未満 | 65%以上75%未満 | ・ベトナム側は単独で普通決議を通せる ・ベトナム側は単独で特別決議を通せない →日本側に特別決議の拒否権あり |
25%未満 | 75%以上100%未満 | ・ベトナム側は単独で特別決議を通せる →ベトナム側に完全な支配権あり |
合弁の場合、上記の持株比率に応じて、それぞれ留意すべき点がありますが、詳細は次回にご説明します。
注1;二人以上有限会社の場合は「社員総会」ですが、本稿では株主総会で統一します。
注2;2015年7月1日の改正企業法施行により変更されますが、本稿では説明を割愛します。
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